ひと言ヒストリー

歴史関連のおすすめ書籍や映画を一言で紹介します。

【恐怖政治の時代】地獄へのカウントダウン:ソローキン『親衛隊士の日』が予言するロシア、そして米国の変貌

2026年1月、米軍によるベネズエラ侵攻という「外」への武力行使と並行して、アメリカ「内」でも凄まじい嵐が吹き荒れています。トランプ政権が公約通りに断行している、ICE(出入国在留管理局)による史上最大規模の不法移民一斉検挙――「ICE Raid」です。

現代アメリカとロシアを繋げる興味深い補助線として、現代ロシアの異能ウラジーミル・ソローキンが描いたディストピア小説『親衛隊士の日』をおすすめします。

👉『親衛隊士の日』(Amazon詳細ページ)

「法執行」という名の祝祭、そして「Raid

ソローキンの描く親衛隊(オプリーチニク)は、皇帝への絶対的な忠誠を誓い、法を超越した暴力を「聖なる任務」として執行します。

現在のアメリカで起きているICEの動きには、単なる行政手続きを超えた、ある種の「親衛隊的」な空気感が漂い始めています。

  • 問答無用の踏み込み(Raid): 職場や家庭、コミュニティの平穏を突如として破壊する武装した執行官たちの姿は、ソローキンが描いた、反逆者の館を急襲する親衛隊士たちの狂乱と不気味に共鳴します。

  • 忠誠心の軍隊: 憲法や既存の法秩序よりも「最高司令官の意志」を優先し、迷いなく隣人を連れ去っていく。そこにあるのは、知的な対話の拒絶と、力による純化への渇望です。

プーチンが目指した「中世への退行」:イワン雷帝の影

ソローキンが本作で描いた「親衛隊(オプリーチニク)」は、単なる架空の組織ではありません。これは16世紀、ロシア史上最初のツァーリであるイワン雷帝が、貴族勢力を一掃し、絶対的な独裁権力を確立するために創設した実在の親衛隊制度に基づいています。

ソローキンは、プーチン政権下で台頭した「シロヴィキ(武闘派エリート)」たちが、いかにこの中世的な暴力装置を現代に再生させようとしているかを、痛烈に、そしてグロテスクに描き出しました。

  • 「私兵」としての国家機関: プーチン体制におけるFSB(連邦保安局)やロスグヴァルディア(国家親衛隊)が、憲法上の公的機関でありながら、実質的には「大統領個人への絶対忠誠」を誓う私兵集団と化していく過程。ソローキンはその精神性の行き着く先を、隊士同士の奇怪な結束儀式として戯画化しました。

  • 「西洋」の完全拒絶: 本作で描かれる「巨大な壁」は、物理的な国境である以上に、プーチンが掲げる「ロシア独自の文明道(ルースキー・ミール)」を象徴しています。民主主義、人権、法の支配といった西洋的価値観を「魂を汚す病」として切り捨て、聖像(イコン)と暴力が支配する暗黒時代へと国民を連れ戻す――。

  • 富の独占と腐敗の聖域化: 親衛隊士たちが最新の高級車を乗り回し、麻薬に耽りながら、口では「聖なるロシアの浄化」を説く。この凄まじい偽善は、プーチン周辺のオリガルヒ(新興財閥)が享受する特権と、それを愛国主義で正当化する現在のロシア社会そのものの写し鏡です。

2006年にソローキンが放ったこの「予言」は、2022年のウクライナ侵攻、そして2026年の現在に至るまでのロシアの歩みによって、もはや「風刺」であることを止め、血の通った現実の恐怖へと昇華されてしまいました。

トランプの米国と「壁」の内側

ソローキンは本作で、巨大な「壁」によって外世界から遮断され、中世的な専制君主制へと退行したロシアを描きました。

トランプ氏の掲げる「壁」も、物理的な構造物である以上に、精神的な「隔絶」の象徴です。ICEによる大規模なRaidは、その壁の内側を「純化」するための儀式として機能しています。 かつてはロシア特有の「グロテスクな風刺」として笑い飛ばせたはずのソローキンの物語が、今や民主主義の総本山であったはずの米国において、現実のドキュメンタリーへと変貌を遂げているのです。

歴史愛好家として直視すべき「現在」

『スパイたちの百年戦争』で描かれたような情報の裏工作がベネズエラ侵攻を支え、国内ではICEという実力組織が「親衛隊」のごとく動く。2026年の年明けは、まさに歴史が加速し、フィクションが現実を追い越していく瞬間となりました。

『親衛隊士の日』は、今この時代に読むと、もはや「風刺」ではなく「警報」として響きます。

👉『親衛隊士の日』(Amazon)で、この時代の深淵を覗く

【原典から読み解く】復活した「モンロー主義」:アメリカ大統領演説から見るベネズエラ侵攻の論理

2026年1月3日、米軍によるマドゥロ大統領夫妻の拘束という強硬手段により、世界は驚愕に包まれました。この事態を「米国の身勝手な暴走」と見るか、「秩序の回復」と見るか。その判断の大きな助けとなるのが、米国外交の背骨である**「モンロー主義モンロー・ドクトリン)」**の理解です。

今回は、その歴史的な原典を日本語で読める貴重な一冊をご紹介します。


歴史の転換点を目撃するための必読書

古矢旬・三浦俊章 編訳『アメリカ大統領演説集』(岩波文庫)

本書は、アメリカの歴代大統領がどのような言葉で国家の進むべき道を示してきたかを辿る名著ですが、こと「ベネズエラ問題」を考える上で、これ以上に重要な文献はありません。

なぜ今、この本なのか?

本書には、現在の事態を予見していたかのような二つの決定的な演説が収録されています。

  1. ジェームズ・モンロー「第七次年次教書」(1823年)アメリカ大陸に欧州勢力は干渉させない」と宣言した、本邦初訳となる全文が収録されています。今回の侵攻においても、ロシアや中国の影響力を排除しようとする米国の意図は、この200年前のドクトリンに直結しています。

  2. セオドア・ローズヴェルト「第四次年次教書(コロラリー)」(1904年) モンロー主義をさらに一歩進め、「ラテンアメリカ不法行為が起きた場合、米国は国際警察権を行使できる」とした**「ローズヴェルトの付帯事項(コロラリー)」**の演説です。マドゥロ政権を「麻薬テロリスト」として断罪し、軍を送り込んだトランプ政権の論理は、まさにこの演説の現代版と言えるでしょう。


言葉が「歴史」を動かす瞬間

「歴史は繰り返す」と言いますが、今回のアメリカの行動は、決して突発的なものではありません。200年かけて醸成されてきた「アメリカの論理」が、2026年の今日、最悪の形で、あるいは必然的に発動したのです。

ニュースの断片を追うだけでは見えてこない、アメリカという国家の「意志」の深淵に、ぜひ本書を通じて触れてみてください。

【緊急考察】2026年1月3日、ベネズエラに激震。米軍侵攻とマドゥロ拘束の衝撃を歴史から読み解く

本日ベネズエラ現地時間の未明、カラカスに鳴り響いた爆音は、単なる一国の政変ではなく、ラテンアメリカ全体の地政学的な「激震」を告げるものでした。

トランプ大統領は、デルタフォースを中心とする米軍部隊がマドゥロ大統領夫妻を拘束し、国外へ移送したと発表。米国司法省は2020年の起訴に基づき、「麻薬テロリズム」の罪で米国内の裁判にかける意向を示しています。

この信じがたいニュースを理解するために、私たちが今こそ読み返すべき「補助線」となる文献を紹介します。


「溶解」の果てに訪れた破局

坂口安紀『ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済』(中公選書)

今回の米軍侵攻の背景には、積年にわたるベネズエラの「国家機能の麻痺」があります。坂口先生が本書で詳述された、石油に依存しつつ民主主義が形骸化していくプロセス――。 その「溶解」が極限まで達した結果、国際社会からの孤立を深め、最終的に今回の「外科手術」的な武力介入を招く余地を与えてしまったと言えるかもしれません。

👉『ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済』(Amazon)


歴史は繰り返すのか:1989年パナマ侵攻との類似点

今回の作戦は、奇しくも36年前の同じ日(1月3日)に、パナマのノリエガ将軍が米軍に降伏し、移送された歴史を想起させます。この「米国の正義」が発動する力学を理解するには、以下の2冊が欠かせません。


結び:資源と主権、そして情報の攻防

今回の軍事作戦は、表面上は麻薬対策とされていますが、その深層には世界最大の石油埋蔵量を巡る権益争いや、中国・ロシアとの諜報戦が絡み合っています。以前紹介したカルダー・ウォルトンの『スパイたちの百年戦争』で描かれたような、水面下での「情報の戦い」が今回の電撃的な捕縛劇を可能にしたことは想像に難くありません。

マドゥロ氏なき後のベネズエラは、新たな民主主義の夜明けを迎えるのか、あるいはさらなる混乱に陥るのか。Historyphileとして、この「生きた歴史」を引き続き注視していきたいと思います。

【新刊】世界を操る「インテリジェンス」の全貌。カルダー・ウォルトン『スパイたちの百年戦争』

歴史の教科書には載らない、しかし確実に歴史を規定してきた「影の力」。 今回ご紹介するのは、現代諜報史研究の第一人者、カルダー・ウォルトンによる記念碑的な大著『スパイたちの百年戦争』です。

👉【Amazon】『スパイたちの百年戦争』詳細はこちら

著者:カルダー・ウォルトンの視点

カルダー・ウォルトン氏は、ケンブリッジ大学で博士号を取得し、MI5(英国保安部)の公式史編纂にも携わった経歴を持つ、まさに「情報の裏側」を知り尽くした歴史家です。

彼が本書で描き出すのは、1917年のロシア革命から現代に至るまで、西側諸国とロシア(旧ソ連)、そして中国との間で繰り広げられてきた「終わりのない知略の戦い」です。

本書が解き明かす「諜報の世紀」

単なるエピソード集ではありません。ウォルトン氏は膨大な機密解除文書を駆使し、以下の鋭い分析を提示します。

  • 「100年」の継続性: 私たちが現在目撃しているサイバー攻撃や情報操作は、実は100年前のボリシェヴィキの手法から地続きであること。

  • 情報の「質」と「受容」: どんなに優秀なスパイが情報を持ち帰っても、政治家が自らのバイアスでそれを歪めて解釈したとき、悲劇が起きるという歴史の鉄則。

  • 冷戦の再定義: 冷戦は1945年に始まったのではなく、1917年から現在まで形を変えて続いている「100年戦争」であるという大胆な視点。

学術性と物語性が融合した「衝撃の記録」

本書は、単なるスパイ・スリラーではありません。英国MI5、MI6、米国のCIA、そしてソ連KGBといった組織がいかにして国家の命運を左右してきたかを、膨大な機密解除資料から描き出しています。

特筆すべきは、その圧倒的な評価の高さです。

暗殺、情報操作、選挙介入、そして現代のサイバー攻撃まで――。かつて「マフィア国家」ロシアや「デジタル権威主義国家」中国が用いた策謀の原点が、100年前のボリシェヴィキの手法にあることを本書は鮮やかに証明しています。

【目次】歴史の断面を切り取る

本書の構成(第Ⅰ部〜第Ⅲ部)は、まさに「衝突」の歴史そのものです。

  • 第1章 諜報の世紀

  • 第Ⅰ部 独裁体制と民主主義の衝突

    • 第2章 東の冷気

    • 第3章 因果応報

    • 第4章 スターリンの攻勢

  • 第Ⅱ部 文明の衝突

    • 第5章 世界大戦から冷戦へ

    • 第6章 パズルの迷宮

    • 第7章 裏切りの風土

  • 第Ⅲ部 兵器の衝突

    • 第8章 戦場

    • 第9章 科学技術

    • 第10章 一〇月のミサイル

上巻から下巻へと続くこの壮大な叙事詩は、私たちが生きる「今」という時代の危うさを理解するための最強の補助線となるでしょう。

現代の「新冷戦」を読み解くために

上下巻にわたる圧倒的な情報量ですが、ウォルトン氏の筆致は非常にクリアで、現代の地政学的リスクを理解するための「必読の教科書」となっています。特に、中国の台頭と知的財産を巡る諜報戦に触れた終盤の議論は、今まさに私たちが直面している問題そのものです。

👉『スパイたちの百年戦争』

【書評】日本軍はなぜ暴走したのか?『帝国陸軍―デモクラシーとの相剋』から学ぶ教訓

歴史を学ぶ上で避けて通れない、かつ最も難解な問いの一つ。 それは**「なぜ近代日本のエリート集団であった帝国陸軍が、政党政治を崩壊させ、無謀な戦争へと突き進んだのか」**という問題です。

今回、その「相剋」の歴史を鮮やかに描き出した一冊が、手に取りやすいKindle・書籍版で紹介されています。

👉『帝国陸軍―デモクラシーとの相剋』(Amazon詳細ページ)

「軍部の独走」という言葉で片付けない視点

私たちはつい「軍部が独裁的に振る舞った」という言葉で歴史を理解した気になりがちです。しかし、本書が描き出すのは、もっと複雑でリアルな力学です。

  • 大正デモクラシーとの並走: 陸軍は決して社会から孤立していたわけではなく、政党政治や社会情勢の影響を強く受けていました。

  • 二大潮流の激突: 永田鉄山らの「統制派」と、荒木貞夫らの「皇道派」。彼らが何を信じ、何に危機感を抱いていたのか。

  • システムの欠陥: 統帥権の独立という構造が、どのように民主主義的な制御を無効化していったのか。

本書の構成:帝国陸軍の変遷を辿る

本書では、日露戦争後の「栄光」から、いかにして陸軍が変質し、最終的な破局へと突き進んだのかが、時系列に沿って緻密に描き出されています。

【目次】

  • はしがき

  • 第1章 栄光からの転落日露戦争後の混迷

  • 第2章 第一次世界大戦の衝撃 ― 総力戦という未知の恐怖

  • 第3章 ポスト大戦型陸軍への挑戦 ― 近代化への模索

  • 第4章 「大正陸軍」の隘路 ― デモクラシーとの最初の対峙

  • 第5章 「昭和陸軍」への変貌 ― 組織の変質と混迷

  • 第6章 陸軍派閥抗争 ― 統制派と皇道派の相剋

  • 第7章 政治干渉の時代 ― 崩れゆく文民統制

  • 第8章 日中戦争から対米開戦へ ― 止まらない暴走

  • 終 章 歴史と誤り

  • あとがき / 主要参考文献 / 関連年表

特に、宇垣一成の研究を極めた髙杉先生ならではの視点が光るのが、第3章から第5章にかけての記述です。近代化を目指した「挑戦」が、なぜ「変貌(暴走)」へと繋がってしまったのか。そのミッシングリンク(失われた環)を埋める筆致は圧巻です。

現代を生きる私たちが読むべき理由

本書を読み進めると、当時の陸軍将校たちが抱いていた「将来への不安」や「国を守るための使命感」が、皮肉にも最悪の結果を招いていく過程に寒気が走ります。

これは単なる過去の記録ではなく、**「専門家集団が暴走する時、社会はどうなるのか」**という、現代の組織論や政治にも通じる普遍的なテーマを含んでいます。

👉【Amazon】『帝国陸軍―デモクラシーとの相剋』はこちら

【最新刊】『葬送のフリーレン』第15巻が到着。過ぎ去った時間が「歴史」に変わる瞬間を読み解く

皆様、こんにちは。Historyphileです。

かつて勇者と共に魔王を倒したエルフの魔法使いが、数百年という時の中で、かつての仲間たちの足跡を辿り直す――。

「後日譚」でありながら、同時に「新たな歴史の編纂」でもあるマンガ**『葬送のフリーレン』**。待望の第15巻がついに発売されました。

 

👉【最新刊】『葬送のフリーレン』第15巻 購入はこちらから

これまでの歩み:14巻までの振り返り

本作を未読の方、あるいは少し間が空いてしまった方のために、14巻までの流れをごく簡単に振り返ってみましょう。

物語は、勇者ヒンメルの死から始まります。人間の寿命の短さと、自分が彼を知ろうとしなかったことを悔やんだフリーレンは、「魂の眠る地(オレール)」を目指す旅に出ます。

  • 魂の眠る地へ: 弟子のフェルン、戦士シュタルクと共に、かつての勇者一行の軌跡を再訪。

  • 一級魔法使い試験: 魔法の在り方が変わった「現代」の魔法使いらとの出会いと衝突。

  • 黄金郷編: 人類最強の七崩賢・黄金卿のマハトとの、数百年にわたる「因縁」と「理解」を巡る戦い。

  • 女神の碑編(13巻〜): 過去の時代へと意識が飛ばされたフリーレン。若き日のヒンメルたちと再会し、未来の自分が知らない「空白の歴史」を埋めていく……。

最新15巻で描かれるもの

最新刊では、過去編を経て再び現代の旅へと戻ったフリーレンたちの姿が描かれます。

この作品の素晴らしさは、単なるファンタジーではなく、**「誰かが生きた証を、後の人間がどう受け継ぐか」**という歴史学的な視点が含まれている点にあります。ヒンメルが各地に銅像を建てた理由も、フリーレンがそれを見守る理由も、すべては「忘れ去られること」への抵抗なのです。

👉『葬送のフリーレン』第15巻(Amazon)

久々の更新が続きますが、たまにはこうした現代の「叙事詩」に触れてみるのも、歴史好きとしては乙なものですよ。

【再読】『十二国記』を「耳」で旅する。久川綾さんの声で蘇る陽子の物語

歴史好きにとって、異世界の「理(ことわり)」を緻密に構築した小野不由美先生の『十二国記』は、もはや古典に近い風格を感じる名作ですよね。

最近、仕事や家事でなかなか本を開く時間が取れなかったのですが、ふとしたきっかけで「オーディブル(Audible)」を使い始め、真っ先に手に取ったのがこの作品でした。

陽子の声が、そのまま聞こえてくる。

今回聴いたのは、シリーズの原点である**『月の影 影の海』**。

 

 

👉 十二国記『月の影 影の海』Audible版はこちら

驚いたのは、アニメ版でも主人公・中嶋陽子を演じた久川綾さんがそのまま声を担当されているんです。

アニメ放映から月日は流れましたが、久川さんの凛とした、それでいて脆さを抱えた陽子の声は健在。文字で読んでいた時以上に、陽子の絶望や決意がダイレクトに脳内に響いてきて、思わず作業の手が止まってしまうほどの没入感でした。

忙しい大人にこそ「オーディオブック」という選択

正直、最初は「読書は紙でなきゃ」というこだわりがあったのですが、実際に使ってみると、通勤中や寝る前の暗い部屋でも物語の世界に浸れるのは、現代の読書スタイルとしてかなり「アリ」だなと感じています。

プロの声優さんによる朗読は、もはや「聴く映画」といっても過言ではありません。

👉 【30日間無料体験あり】Audible(オーディブル)をチェックする

十二国記』シリーズは順次オーディオブック化されているようなので、あの壮大な歴史絵巻を「耳」で辿り直す旅に、皆さんも出かけてみませんか?

久川綾さんの「慶王・陽子」に再び出会えた時の感動、ぜひ味わってほしいです。

【久々の更新】冷戦の狂気は過去のものか?スタンリー・キューブリック『博士の異常な愛情』がセール中

 

 

皆様、大変ご無沙汰しております。Historyphileです。 しばらく更新が止まってしまっていましたが、歴史への探求心は相変わらず枯れておりません。

本日は、歴史ファン、そして映画ファンなら絶対に外せない「あの傑作」が現在Amazonでセール中という報せを受け、急ぎ筆を執りました。

究極のブラックコメディ『博士の異常な愛情

今回ご紹介するのは、巨匠スタンリー・キューブリックによる1964年の傑作、**『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』**です。

👉【Amazon】『博士の異常な愛情』詳細・購入はこちらから(セール中!)

今こそ観直したい「核」という狂気

この映画が公開されたのは、世界が核戦争の恐怖に最も近づいた「キューバ危機」からわずか2年後のこと。

一人の狂狂的な将軍が独断で核攻撃を命令し、それを止めようとする大統領や軍上層部、そして車椅子に座る元ナチスの科学者ストレンジラヴ博士……。彼らが繰り広げる議論はあまりに滑稽で、しかし同時に、システムが一度暴走すれば人間にはどうすることもできないという「冷徹なリアリズム」を突きつけてきます。

冷戦時代の歴史的資料として観るのも面白いですが、核の脅威が再び現実味を帯びている現代において、この映画が描く「狂気」は決して過去の笑い事ではないように感じられます。

まだ観たことがない方はもちろん、一度観た方もこの機会に手元に置いて、今の時代に再考してみてはいかがでしょうか。

👉 『博士の異常な愛情』(Amazonページへ)


また少しずつ、歴史にまつわるトピックや映画、書籍の紹介を再開していければと思っております。 今後とも、Historyphileをよろしくお願いいたします。

飯塚信雄『フリードリヒ大王 啓蒙君主のペンと剣』中公新書, 1993年

飯塚信雄『フリードリヒ大王 啓蒙君主のペンと剣』中公新書, 1993年

 

18世紀にプロイセンを大国の地位へと高めた政戦両略の天才フリードリヒ2世について学ぶことが出来る貴重な新書。新書レベルでの良質な伝記が今後も増えて欲しいものである。

 

 

関連書籍

フリードリヒ大王: 祖国と寛容 (世界史リブレット人)
 
Frederick the Great: King of Prussia (English Edition)

Frederick the Great: King of Prussia (English Edition)

 

ローベルト・ゲルヴァルト 『敗北者たち 第一次世界大戦はなぜ終わり損ねたのか, 1917-1923』みすず書房, 2019年

ローベルト・ゲルヴァルト 『敗北者たち 第一次世界大戦はなぜ終わり損ねたのか, 1917-1923』みすず書房, 2019年

 

 第一次世界大戦は1918年に終わったわけではなく、その後もドイツ革命、ロシア内戦、トルコ内戦、ナチ党のビアホール一揆など、暴力の応酬が続いた点に着目した研究書。第二次世界大戦へと至る道筋の原点を模索するうえでも見逃せない一冊である。

 

 

関連書籍

 

ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)

ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)

 

  

historyphile.hatenablog.com

 

ダロン・アセモグル, ジェイムズ・A・ロビンソン 『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源』早川書房, 2013年

 ダロン・アセモグル, ジェイムズ・A・ロビンソン 『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源』早川書房, 2013年

 

 国家が衰退する理由として、地理的要因や為政者の無能といった従来型の説明を否定し、マクロな政治経済的分析を展開する。

 著者の中心的テーゼを要約すれば、政治的意思決定への参加度が高い、「包括的制度」を持つ国家ほど強靭化するという。

 ひるがえって市民に政治参加の自由が少ない「収奪的制度」を有する国家ほど、起業家が革新的な経済活動を行うインセンティブが弱まり、衰退する傾向があるという。

 このような主張に説得力を持たせるべく、本書は17世紀イングランドから21世紀のエジプトにいたる豊富な事例を検討する。現代日本への示唆に富む書である。

 

 聞き流しで読めるAmazon Audible

 

関連書籍 

  

historyphile.hatenablog.com

historyphile.hatenablog.com

小梅けいと(漫画)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(原作) 『戦争は女の顔をしていない』角川書店, 2020年

小梅けいと(漫画)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(原作) 『戦争は女の顔をしていない』角川書店, 2020年

 

 ノーベル文学賞を受賞した第二次世界大戦史の漫画版。生存者の膨大なインタビューに基づき、これまで語られてこなかった独ソ戦におけるソ連女性兵士の戦争体験を描き出している。誠実に漫画化されており、原著への入り口としておすすめである。

 

 

関連書籍

 

historyphile.hatenablog.com

 

メアリー・ビアード『SPQR ローマ帝国史』亜紀書房, 2018年

メアリー・ビアード『SPQR ローマ帝国史』亜紀書房, 2018年

 

 英語圏で2015年の発売後ベストセラーとなった古代ローマの通史。

 SPQRとはSenatus Populusque Romanusの略で、「ローマの元老院と市民」を意味し、共和政ローマの主権者を指す。帝政に移行して以降もローマ政府のシンボルとして用いられ続けた。現在のイタリアでもマンホールなどの刻印に使われている。

 ギボンの『ローマ帝国衰亡史』はハードルが高いが、塩野七生の『ローマ人の物語』よりは学術的なものを読みたいという方におすすめ。最新の歴史学の動向を反映し、為政者だけではなく、民衆からの視点も重視されている。

 

SPQR ローマ帝国史I――共和政の時代

SPQR ローマ帝国史I――共和政の時代

 
SPQR ローマ帝国史II――皇帝の時代

SPQR ローマ帝国史II――皇帝の時代

 
SPQR: A History of Ancient Rome (English Edition)

SPQR: A History of Ancient Rome (English Edition)

 

 

 英語要約版のオーディオブック。時間の無い方におすすめ。

Summary & Analysis of SPQR, by Mary Beard

Summary & Analysis of SPQR, by Mary Beard

  • 作者:Instaread
  • 発売日: 2016/02/17
  • メディア: Audible版
 

 

関連書籍

舌を抜かれる女たち

舌を抜かれる女たち

 
新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書)

新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書)

 

ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』河出書房新社, 2016年

『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』河出書房新社, 2016年

 

昨今のパンデミックをめぐる世界情勢に関して、積極的な言論活動(参考:日経新聞)を展開しているイスラエル人歴史家による出生作。進化生物学と歴史学を接合させるアプローチをとり、数万年に及ぶホモ・サピエンスの歩みをマクロ的に捉える。人類の発展を主として3段階――①紀元前7万年の「認知革命」、②紀元前1万年の「農業革命」、③西暦1500年の「科学革命」――に分けて整理している。広い視野から歴史を学びたい方に推奨したい。

 

 

歩きながら読書できるAmazon Audibleにも対応

 

 

関連書籍

Sapiens: A Brief History of Humankind (English Edition)
 

  

historyphile.hatenablog.com

historyphile.hatenablog.com

 

「バンド・オブ・ブラザース」 米2001年

 「バンド・オブ・ブラザース」(原題:Band of Brothers)米2001年

 

プライベート・ライアン」の成功を受けて、スティーヴン・スピルバーグトム・ハンクスがプロデュースしたHBOドラマ・シリーズ。米軍第101空挺師団のひとつの中隊に焦点を当て、ノルマンディー上陸からドイツ侵攻までを描く。第二次世界大戦を描いたドラマの傑作である。

 

 

翼のために

翼のために

  • 発売日: 2015/11/23
  • メディア: Prime Video
 

 

関連書籍

D-Day: The Battle for Normandy (English Edition)

D-Day: The Battle for Normandy (English Edition)