ひと言ヒストリー

歴史関連のおすすめ書籍や映画を一言で紹介します。

飯塚信雄『フリードリヒ大王 啓蒙君主のペンと剣』中公新書, 1993年

飯塚信雄『フリードリヒ大王 啓蒙君主のペンと剣』中公新書, 1993年 18世紀にプロイセンを大国の地位へと高めた政戦両略の天才フリードリヒ2世について学ぶことが出来る貴重な新書。新書レベルでの良質な伝記が今後も増えて欲しいものである。 フリードリヒ…

ローベルト・ゲルヴァルト 『敗北者たち 第一次世界大戦はなぜ終わり損ねたのか, 1917-1923』みすず書房, 2019年

ローベルト・ゲルヴァルト 『敗北者たち 第一次世界大戦はなぜ終わり損ねたのか, 1917-1923』みすず書房, 2019年 第一次世界大戦は1918年に終わったわけではなく、その後もドイツ革命、ロシア内戦、トルコ内戦、ナチ党のビアホール一揆など、暴力の応酬が続…

ダロン・アセモグル, ジェイムズ・A・ロビンソン 『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源』早川書房, 2013年

ダロン・アセモグル, ジェイムズ・A・ロビンソン 『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源』早川書房, 2013年 国家が衰退する理由として、地理的要因や為政者の無能といった従来型の説明を否定し、マクロな政治経済的分析を展開する。 著者の中心的…

小梅けいと(漫画)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(原作) 『戦争は女の顔をしていない』角川書店, 2020年

小梅けいと(漫画)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(原作) 『戦争は女の顔をしていない』角川書店, 2020年 ノーベル文学賞を受賞した第二次世界大戦史の漫画版。生存者の膨大なインタビューに基づき、これまで語られてこなかった独ソ戦におけるソ連女…

メアリー・ビアード『SPQR ローマ帝国史』亜紀書房, 2018年

メアリー・ビアード『SPQR ローマ帝国史』亜紀書房, 2018年 英語圏で2015年の発売後ベストセラーとなった古代ローマの通史。 SPQRとはSenatus Populusque Romanusの略で、「ローマの元老院と市民」を意味し、共和政ローマの主権者を指す。帝政に移行して以降…

ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』河出書房新社, 2016年

『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』河出書房新社, 2016年 昨今のパンデミックをめぐる世界情勢に関して、積極的な言論活動(参考:日経新聞)を展開しているイスラエル人歴史家による出生作。進化生物学と歴史学を接合させるアプローチをとり、数万…

「バンド・オブ・ブラザース」 米2001年

「バンド・オブ・ブラザース」(原題:Band of Brothers)米2001年 「プライベート・ライアン」の成功を受けて、スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスがプロデュースしたHBOドラマ・シリーズ。米軍第101空挺師団のひとつの中隊に焦点を当て、ノルマン…

ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』草思社, 2012年

ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』草思社, 2012年 かつてのベストセラーだが、2020年の今こそ確認したい人類と病原菌との共生と寄生の歴史。欧米の植民地支配は銃・病原菌・鉄の三要素無くして実現できなかったというテ…

木村靖二『第一次世界大戦』ちくま新書, 2014年

木村靖二『第一次世界大戦』ちくま新書, 2014年 第一次世界大戦について日本語で一冊読むならこれ、と言える新書。ドイツ史の第一人者が、開戦原因、経緯から帰結まで纏めてくれている。短い紙幅の中で、扱うべき論点(たとえばフィッシャー論争のような学会…

デヴィッド・クリスチャン他『ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか 宇宙開闢から138億年の「人間」史』明石書店, 2016年デイヴィッド・クリスチャン

デヴィッド・クリスチャン他『ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか 宇宙開闢から138億年の「人間」史』明石書店, 2016年 宇宙開闢から現代までを扱う超マクロ史観を展開する。ビッグバンに始まる宇宙の歴史、太陽系の形成、生命の誕生…

「ゲーム・オブ・スローンズ」 米2011年~2019年

「ゲーム・オブ・スローンズ」(原題:Game of Thrones) 米2011年~2019年 8シーズン続いた米HBO制の大作ファンタジー・ドラマ。中世英国の薔薇戦争をモチーフにしており、権謀術数渦巻く真実味のある政治を描く。ドラマを見て気に入った方にはジョージ・R…

岩明均『ヒストリエ』講談社, 2004年~

岩明均『ヒストリエ』講談社, 2004年~ 『寄生獣』の岩明均が描く、アレクサンドロス大王の時代の古代ギリシア世界を題材とする本格歴史漫画。主人公を大王本人でなく、大王の書記を務め、ディアドコイ(後継者)戦争で挙兵するカルディアのエウメネスとした…

「ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド」 英・NZ 2018年

「ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド」(原題:They Shall Not Grow Old)NZ・英2018年 「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督による第一次世界大戦のドキュメンタリー。英軍を中心とする兵士たちのインタビュー映像や、最…

呉座勇一『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』中公新書, 2016年

呉座勇一『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』中公新書, 2016年 コアな歴史本にして発行部数50万部を叩き出した稀有な書。戦国時代の始まりを告げた応仁の乱を題材に、幕府、朝廷、有力大名の駆け引きを巧みに描く。プロの歴史家らしく、史料考証も詳細で、入…

「プライベート・ライアン」米1998年

「プライベート・ライアン」(原題:Saving Private Ryan)米1998年 スティーヴン・スピルバーグ監督の言わずと知れた第二次世界大戦映画。冒頭のノルマンディー上陸作戦のシーンは圧巻であり、以降の戦争映画に決定的な影響を残した。この映画の以前と以後…

大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 』岩波新書, 2019年

大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 』岩波新書, 2019年 「新書大賞2020」大賞を受賞し、話題となった本。独ソ戦にまつわる伝説(たとえばパウル・カレルの国防軍無謬説など)の虚構を暴き、読者の知識レベルを引き上げる。独ソ戦、また第二次世界大戦について知…